先輩からのメッセージ 

所属:小規模多機能型居宅介護  担当業務:管理、介護

先輩からのメッセージ



未経験からのスタート

私は、生陽会に入る前はまるで違う職業で、生陽会に入ってから介護の仕事を覚えました。

以前は訪問介護がありそこから始まり、通所介護、そして現在の小規模多機能と勤務していますが、その時その時で、わからない事や困難な事、問題などにぶち当たり、とまどい、あれこれ考える事も多いです。ですが、今までの日々を思い起こすと、辛かった事よりも、良かったと思ったり、周りに助けられありがたく思った事の方が、心に強く残っています。

 また私は、偶然の出来事の不思議さや、ありがたさも忘れる事ができません。私は霊感とか、そういう物も無く、何かが見えるという事もなく、生きていますが、偶然という事がよくあります。

忘れられない出来事

 ~T様のエピソード~

訪問介護をしていた頃、気難しく頑固でわがままとも言えるT様がいらっしゃいました。奥様が商売を切り盛りし、T様は日中お一人で自暴自棄になりがちで、訪問時は励ましたり、怒ったり、笑ったりと接していました。数年後、動脈瘤がいつ破裂してもおかしくない状態にある事がわかり、T様にも伝えられました。たまたま奥様が在宅時に訪問した際、奥様がT様に「どこか行きたい所とか、何か食べたい物とか、ないのかね」と尋ねると、T様はしばらく考え「桜が見たい」とおっしゃいました。まだ桜には程遠い時期で、奥様も「何言っているだね、桜なんて、まだある訳ないじゃんかね」とおっしゃったのですが、その時、私は車の中に一抱えもある満開の桜の枝を載せていたのです。

その前に伺った、農家のお宅に置いてあった満開の桜に驚き称賛すると、山にある早咲き桜のじゃまな枝を切ったそうで、「よかったら持っていって」とくださったのです。そこで車に戻りその枝を折ってT様に渡すと、T様は声を出さずに、テーブルに突っ伏して泣かれました。それから10日程あと、まだまだ桜も咲かないうちに、T様は自宅で、静かに亡くなられました。

 ~D様のエピソード~

 もう一人忘れられないのがD様です。3年前の夏、炎天下の中ひたすら歩いているお年寄りを見つけ、車に乗せ交番に送ったのですが、とても受け答えが可愛らしいおじいさんで、こんな方が施設に来ないかなと思っていました。その年の暮れ、泊りと通いの利用者様として、来られたのが、D様でした。

 認知症が進行し、足元もおぼつかなくなっても徘徊し、それからはいつもD様に誰かついていないと危険が高い状態でした。その方の対応が難しくなっている事をご家族にも伝え、検討して頂く事になった去年の夏の事です。夜、その方を見ていると、急に真顔になり「今までありがとう。お世話になったね。お別れの時が近づいてきた。ありがとうね。お世話になったね。もう大丈夫だね。これからもがんばってね。だけど偉くなっても、いばっちゃあダメだ。だけど人に気を遣い過ぎてもダメだ。ちょっと人に気を遣う所があるな」と。私は「Dさん、さみしい。そんな・・・」と言うと「それからお金を貯めろよ。1円でもいいから、少しずつお金を貯めなさいよ。」と。私は一人暮らしで、小さな古い家を買い、貯金を使ってしまいました。友人と“1円貯金をしよう”と言って出来ていなかったので、D様の言葉に驚きました。 けれど、すぐにまたいつもの認知症のD様に戻ってしまわれ、そのような話は二度とされませんでした。

 それから2週間後、D様は自宅で寝ている間に、亡くなられました。


 私もこの仕事をしていて、怒ったり嘆いたり、感情の起伏があり、いつも善き人ではいられませんが、今までのいろいろな事を支えに、また少しずつ自分に出来る事を出来る範囲で、進んでいきたいと思います。

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